ヘンダーソン14項目とは?
ヘンダーソンが『看護の基本となるもの』の中で挙げた、人の基本的欲求と基本的看護の構成要素と呼ばれる14の基本的ニードの項目をいいます。
1、正常に呼吸する
2、適切に飲食する
3、あらゆる排泄経路から排泄する
4、身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
5、睡眠と休息をとる
6、適当な衣類を選び、着脱する
7、衣類の調整と環境の調整により、体温を正常範囲に維持する
8、身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9、環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10、自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
11、自分の信仰に従って礼拝する
12、達成感をもたらすような仕事をする
13、遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14、”正常”発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
今回は3、『あらゆる排泄経路から排泄する』について書いていこうと思います。
『あらゆる排泄経路から排泄する』のアセスメントの視点
①生理的で正常な排泄である
②尿意・便意的快感がある
生理的で正常な排泄であるとは?
排泄というのは、排便・排尿の排泄状況はもちろんですが、胆汁や発汗などの排泄経路についても考える必要があります。
では、生理的な排泄が正常に行われている状態をアセスメントするために必要な情報とは・・・
排便障害とは
食物は、通常30〜120時間かけて便として排出されます。
しかし、この過程で何かしら問題が起きて、快適な排便ができず日常生活に影響が及ぶことを排便障害といいます。
排便障害には、便秘、下痢、便失禁があります。
排便障害の分類
排便障害の種類 | 分類 |
便秘 | 機能性便秘(弛緩性、直腸性、痙攣性)、器質性便秘、症候性便秘 |
下痢 | 浸透圧性下痢、滲出性下痢、分泌性下痢、腸管運動異常の下痢 |
便失禁 | 溢流性便失禁、漏出性便失禁、切迫性便失禁 |
排便障害を分類し、なぜこの排便障害が起きているのか、メカニズムを知ることが大切です。
便秘の原因
- 糖尿病や脊椎外傷による自律神経異常→腸蠕動運動減弱
- 便意を感じない、筋力低下によるいきみ動作困難
- 不規則な食事
- 水分摂取量の低下
- 不規則な排便習慣(便意抑制の習慣化)
- 薬物による副作用
- 環境の変化 など
便の性状
ブリストル便形状スケール
分類 | 便形状 |
タイプ1 | 硬くてコロコロの兎糞状の便 |
タイプ2 | ソーセージ状であるが硬い便 |
タイプ3 | 表面にひび割れのあるソーセージ状の便 |
タイプ4 | 表面がなめらかでやわらかいソーセージ状、あるいはヘビのようなとぐろを巻く便 |
タイプ5 | はっきりとしたしわのあるやわらかい半分固形の便 |
タイプ6 | 境界がほぐれてふにゃふにゃの不定形の小片便、泥状の便 |
タイプ7 | 水様で固形物を含まない液体状の便 |
排尿障害とは
尿をためたり、尿を出したりする過程に何らかの問題が生じ、快適な排尿ができず日常生活に影響を及ぼすことを排尿障害といいます。
排尿障害には、尿失禁、排尿困難、頻尿、血尿、乏尿、無尿などがあります。
排尿の異常
尿量異常の種類 | 1日の尿量 | 代表疾患 |
乏尿 | 400ml以下 | 糸球体疾患、尿路閉塞 |
無尿 | 100ml以下 | 腎皮質壊死 |
多尿 | 2500ml以上 | 腎性尿崩症 |
おすすめ参考書
とてもわかりやすいので、教科書として使用する看護学校が増えてきているそうです。
おすすめ漫画
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身体の中でどのような防御が繰り広げられているのかが漫画で面白く学ぶことができます。
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充足アセスメントの例文
『生理的で正常な排泄である』状態のアセスメント例文
麻痺などの運動機能障害もなく、尿意便意があり、排泄動作は正常に行われていると考えられる。
排便については、毎朝1回茶色普通便の排泄があり、腹部膨満感や残便感もないため、Aさんは生理的で正常な排泄であると考えられる。
排尿については、腎機能データ(BUN、CRE、eGFR値、UA、CCR)は全て正常範囲内であり、1500ml/日、6回/日、淡黄色のデータから生理的で正常な排泄であると考えられる。
未充足アセスメント例文
『生理的で正常な排泄でない』状態のアセスメント例文
排便が4日なく腹部膨満、腸蠕動音微弱であり、便秘を起こしていると考えられるため、Aさんは生理的で正常な排泄でない。
便秘の原因としては、腹部の筋力低下や活動量減少、麻薬の副作用により、腸蠕動運動が低下しているためと考えられる。
今後、便秘が継続すると、食欲減退、腹痛など腹部症状悪化のリスクがあるため、排便コントロールが必要と考えられる。
どうしても書き方がわからない場合
例文をいくつか紹介しましたが、担当患者さんによってアセスメント内容は違ってきます。
担当患者さんのアセスメントの書き方でわからないことがある場合は、まず先生に相談しましょう。
もし先生にも相談しにくい場合は、ネットで実際に経験をつんだ看護師に相談できる『ココナラ』というサイトがあります。
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次は、4、『身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する』についてアセスメント例文を書いていきます。