ヘンダーソン14項目とは?
ヘンダーソンが『看護の基本となるもの』の中で挙げた、人の基本的欲求と基本的看護の構成要素と呼ばれる14の基本的ニードの項目をいいます。
1、正常に呼吸する
2、適切に飲食する
3、あらゆる排泄経路から排泄する
4、身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
5、睡眠と休息をとる
6、適当な衣類を選び、着脱する
7、衣類の調整と環境の調整により、体温を正常範囲に維持する
8、身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9、環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10、自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
11、自分の信仰に従って礼拝する
12、達成感をもたらすような仕事をする
13、遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14、”正常”発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
今回は6、『適当な衣類を選び、着脱する』について書いていこうと思います。
『適当な衣類を選び、着脱する』のアセスメントの視点
①適切な衣類を身につけている
②きちんと身づくろいができる
①適切な衣類を身につけているとは?
私たちは毎日衣類を更衣し、その時々に合わせて服装も変えます。
では、入院患者さんにとって適切な衣類を身につけるということは、どういうことなのでしょうか。
更衣動作に影響する状況
- 運動機能障害
(姿勢保持能、上下肢可動域、手指巧緻性など) - 四肢麻痺
- 疼痛
- 発熱
- 倦怠感
- 持続点滴中
- 膀胱留置バルーン挿入中
- 認知機能低下
- 精神疾患 など
このような状態は、更衣動作を妨げることになります。
架空人物でアセスメントしてみると・・・
『適切な衣類を身に着けていない』状態のアセスメント例文
統合失調症アセスメント例
統合失調症のAさんは、自閉、引きこもり、意欲低下など陰性症状が現れているときに、衣類は促さないと着替えなかったり季節にそぐわない格好をしたりしていると考えられる。
このことから、陰性症状が増強によって、今後も適切な衣類を身に着けてることができない恐れがあると考えられる。
手術後アセスメント例
Bさんは、運動機能障害はないが腹部術後の疼痛や腹部膨満感により前傾姿勢になることなどが困難な状態であるため、すべての更衣動作を自己にて行うことは難しいと考えられる。
また、持続点滴、腹部ドレーンの存在も更衣、着脱動作を複雑にさせるため、Bさんにとって適切な衣類を身につけることが困難な状態になっていると考えられる。
Bさんは30歳代で不用意な介助は自尊心を傷つけてしまう恐れがあるため、慎重に看護介入していく必要があると考える。
認知症アセスメント例
Cさんが更衣介助に拒否的であるのは、重度の認知症による判断力・認知力低下、見当識障害から、状況を十分に理解できないためと考えられる。
拒否が強いときは無理強いせず、時間をおいて介助していく必要があると考える。
②きちんと身づくろいができるとは?
身づくろいとは
身づくろいとは、『身だしなみを整えること、身なりを整えること』をいいます。
『きちんと身づくろいができる』状態のアセスメント例文
運動機能障害、記憶障害がなく、自己にて衣類を着脱することができていることから、身体面からきちんと身づくろいができる状態と考えられる。
しかし、髪が乱れていたり、汚れている衣類を更衣しないでいたりするのは、長期入院や疾患の悪化によるストレスから活動意欲が低下しているためと考えられる。
どうしても書き方がわからない場合
例文をいくつか紹介しましたが、担当患者さんによってアセスメント内容は違ってきます。
担当患者さんのアセスメントの書き方でわからないことがある場合は、まず先生に相談しましょう。
もし先生に相談しにくいという場合や急を要する場合には、実際に経験をつんだ看護師にネットで相談できる『ココナラ』というサイトもあります。
ココナラとは、知識・経験・スキルを売り買いできるフリーマーケットです。
看護のことに関しては、実習のアセスメントや授業の質問などを受け付けている方などたくさんいるので、一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
次は、7、『衣類の調整と環境の調整により、体温を正常範囲に維持する』について、アセスメント例文を書いていきたいと思います。