ヘンダーソン14項目とは？
ヘンダーソンが『看護の基本となるもの』の中で挙げた、人の基本的欲求と基本的看護の構成要素と呼ばれる14の基本的ニードの項目をいいます。
1、正常に呼吸する
2、適切に飲食する
3、あらゆる排泄経路から排泄する
4、身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
5、睡眠と休息をとる
6、適当な衣類を選び、着脱する
7、衣類の調整と環境の調整により、体温を正常範囲に維持する
8、身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9、環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10、自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
11、自分の信仰に従って礼拝する
12、達成感をもたらすような仕事をする
13、遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14、”正常”発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
今回は4、『身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する』について書いていこうと思います。
『移動する、好ましい肢位を保持する』のアセスメントの視点
①歩行、立つ、座る、眠るなどの姿勢が適切である。
②よい姿勢のとり方を理解している。
①歩行、立つ、座る、眠るなどの姿勢が適切であるとは？
姿勢が適切というのは、どういう状態をいうのでしょうか。
まず、姿勢が適切でない状態を考えてみましょう。
異常歩行
跛行（はこう）、病的歩行ともいいます。
代表的なものをまとめました。
| 異常歩行の種類 | 原因 | 代表例 |
| 麻痺性歩行 | 末梢神経麻痺 | ポリオ |
| 痙性歩行 | 中枢神経疾患 | 脳性麻痺、脳卒中 |
| パーキンソン歩行 | 脳内回路障害 | パーキンソン病 |
| 失調性歩行 | 小脳、脊髄障害 | 小脳性、脊髄性失調症 |
| 逃避性歩行 | 疼痛 | 座骨神経痛、下肢疼痛疾患 |
活動に影響を与える疾患・状態
- 脳梗塞後遺症
- 倦怠感出現する疾患（貧血、肝疾患など）
- 活動意欲の低下する疾患（うつ病、認知症など）
- 運動機能障害 など
- 持続点滴投与中
- 膀胱留置カテーテル挿入中
- 各ドレーン挿入中
- 術後疼痛 など
『歩行、立つ、座る、眠るなどの姿勢が適切である』状態のアセスメント例文
運動機能障害を伴う疾患はなく、40代で顕著な筋力低下などもみられておらず、自己にて起き上がり、座る、歩くといった動作は正常に行える状態と考えられる。
『歩行、立つ、座る、眠るなどの姿勢が適切でない』状態のアセスメント例文
術後イレウス
術後は疼痛により歩行、立つ、座るなどの活動が妨げられる可能性がある。
そのため、離床が遅延し、無気肺や創治癒の遅延、深部静脈血栓症、腸蠕動運動の低下による術後イレウスをおこす恐れがあると考えられる。
活動制限
離床センサーの使用やミトン装着、持続点滴や膀胱留置カテーテル挿入中であることによって活動を制限されていると考えられる。
活動制限＋適切な姿勢ができない
適度な活動で肝臓は糖代謝を高めるが、動かし過ぎると肝臓の再生、修復に必要な肝血流を保持できないため、今後肝機能の悪化に伴い活動制限をされてしまう恐れがあると考えられる。
また、肝機能が低下することによって倦怠感も出現するため、活動制限や適切な姿勢ができないことにつながると考えられる。
②よい姿勢のとり方を理解しているとは？
患者さんの中には、理解がなかなか難しい方もいます。
理解できない原因には何があるのでしょうか。
- 理解力・判断力の低下
- こだわりが強い
- 頑固 など
『よい姿勢のとり方を理解していない』状態のアセスメント例文
認知症の中核症状による判断力、理解力の低下があるため、良肢位を維持できず、脱臼してしまう恐れがあると考えられる。
おすすめ参考書
事例を疾患や領域別で、アセスメントから、関連図、看護問題優先順位の付け方、看護問題までを丁寧にまとめられています。
ヘンダーソンの項目ごとのアセスメント例文ではなく、ゴードンで情報わけされているのですが、看護問題ごとにアセスメントの例文がたくさんかかれているので、ゴードンで学習している人にはもちろん、それ以外で学習している人にもわかりやすいと思います。
アセスメントの文章をどのように書いたら良いかわからないという方も、文章作成の手助けになりますし、オススメです。
どうしても書き方がわからない場合
例文を紹介しましたが、例えば担当患者さんの現病歴や既往歴など少し情報が違うだけでもアセスメントの内容は変わってしまいます。
担当患者さんのアセスメントの書き方でわからないことは、まず先生に相談してみましょう。
もし先生に相談しにくいという場合には、実際に経験をつんだ看護師にネットで相談できる『ココナラ』というサイトもあります。
ココナラとは、知識・経験・スキルを売り買いできるフリーマーケットです。
看護のことに関しては、看護実習のアセスメントや授業の質問などを受け付けている方などたくさんいるので、諦めてしまう前に一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
次は5、『睡眠と休息をとる』について書いていこうと思います。
・【看護実習が楽になる】記録が進まない、やる気がしないときの対処法
・ヘンダーソンアセスメント例文(3) 身体の老廃物を排泄する
・ヘンダーソンアセスメント例文(4)身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
・ヘンダーソンアセスメント例文(6)適当な衣類を選び、着脱する
・ヘンダーソンアセスメント例文(7)衣類の調整と環境の調整により、体温を正常範囲に維持する
・ヘンダーソンアセスメント例文(8)身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
・ヘンダーソンアセスメント例文(9)環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
・ヘンダーソンアセスメント例文(10)自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
・【看護実習が楽になる】実習中におすすめの便利な商品・時短生活応援グッズ8選
・ヘンダーソンアセスメント例文(13)遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
・ヘンダーソンアセスメント例文(14)”正常”発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
・【看護実習に役立つ】消化器癌アセスメント例文 ヘンダーソン栄養
・【看護実習に役立つ】肝機能低下・肝臓癌ヘンダーソンアセスメント例文
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