ヘンダーソン14項目とは?
ヘンダーソンが『看護の基本となるもの』の中で挙げた、人の基本的欲求と基本的看護の構成要素と呼ばれる14の基本的ニードの項目をいいます。
1、正常に呼吸する
2、適切に飲食する
3、あらゆる排泄経路から排泄する
4、身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
5、睡眠と休息をとる
6、適当な衣類を選び、着脱する
7、衣類の調整と環境の調整により、体温を正常範囲に維持する
8、身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
9、環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
10、自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
11、自分の信仰に従って礼拝する
12、達成感をもたらすような仕事をする
13、遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
14、”正常”発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
看護実習のアセスメント記録って、何を書いたら良いのか悩みますよね。
私も最初は何から手をつけたら良いのか全くわかりませんでした。
どんな情報を収集して、どのように文章を構成したらよいのか、少しでもお役に立てたらと思います。
今回は1、『正常に呼吸する』について書いていこうと思います。
『正常に呼吸する』のアセスメントの視点
①ガス交換が正常に行われている
②安楽に呼吸ができる
ガス交換が正常に行われているとは?
ガス交換とは、酸素、二酸化炭素のやりとりをすることをいいます。
では、このやりとりが正常に行われている状態とは、どういう状態のことかというと…
呼吸回数
呼吸回数が多くても少なくても正常ではありません。
成人の平均的な呼吸回数は16〜20回/分です。
呼吸の種類 | 呼吸数 |
頻呼吸 | 25回/分以上 |
徐呼吸 | 12回/分以下 |
呼吸回数だけでは根拠に乏しいので、他の情報も合わせてアセスメントしていきます。
呼吸パターン
呼吸パターンはどうであるか、正常であれば安静時の呼吸リズムは一定です。
速く浅い呼吸、速く深い呼吸、遅く深い呼吸など呼吸パターンによって正常、異常を判断することができます。
呼吸パターン | 考えられる疾患 |
速く浅い呼吸 | 肺水腫、急性間質性肺炎、気胸、急性肺血栓塞栓症など |
速く深い呼吸 | 過換気症候群、急性肺血栓塞栓症など |
遅く深い呼吸 | 気管支喘息、中枢気道の閉塞、糖尿病性ケトアシドーシスなど |
酸素療法
大気中の酸素濃度では低酸素血症になってしまう患者さんに酸素を投与する治療法です。
- 脊椎損傷などの呼吸筋障害
- 心不全などによる血中酸素量減少
- 肺炎などによる肺機能低下、気管支狭窄
- 呼吸中枢機能障害 など
肺機能の加齢による変化
肺は、加齢とともに弾性収縮力が低下し、肋間筋など胸郭を動かす筋肉もかたくなることで胸郭全体の柔軟性が低下します。
こうした加齢変化は、呼吸を横隔膜の動きに依存したものへ変えてしまうのと同時に、肺活量を低下させ、残気量を増加させることになります。
健康な高齢者は、このような加齢変化が日常生活の妨げになることはあまりないですが、喫煙などの要因が加わることでそのリスクが高くなると考えられています。
充足アセスメントの例文
実際に架空人物でアセスメント例文を書いてみます。
①『ガス交換が正常に行われている』という状態のアセスメント例文
検査では肺機能VCが基準値80%以上であり、肺機能FEV1,0%においても基準値70%以上をこえており、正常範囲内である。
他にも胸部レントゲンに異常がないこと、息切れや息苦しさの訴えがないことから、現在正常にガス交換ができている状態と考えられる。
②『安楽に呼吸ができる』という状態のアセスメント例文
息苦しさの訴えや呼吸苦表情なく過ごされており、呼吸回数15回/分も正常範囲である。
他にも、肺雑音もなく活動も問題なくできていることから、現在安楽に呼吸ができていると考えられる。
未充足アセスメント例文
実際に書くアセスメント記録としては、充足より未充足の方が多いかもしれません。
未充足の場合も架空人物でアセスメントしてみます。
①『ガス交換が正常に行われていない』という状態のアセスメント例文
動脈血酸素飽和度、経皮的酸素飽和度が異常値で、喘鳴、末梢冷感があり、呼吸回数上昇していることから、正常にガス交換できていないと考えられる。
これは、加齢や喫煙により胸郭全体の柔軟性が低下してきたことが原因と考えられる。
また、心不全のポンプ機能低下による循環血液量減少も正常にガス交換できない原因と考えられる。
嚥下機能低下により痰貯留があるため、誤嚥や窒息のリスクがあると考えられる。
経皮的酸素飽和度が異常値で、気道浄化が必要な状態であり、正常にガス交換できていないと考えられる。
②『安楽に呼吸ができない』という状態のアセスメント例文
術後疼痛
術後は創部の疼痛や酸素吸入することによる経鼻の管やマスクによる不快感から、安楽に呼吸ができない恐れが考えられる。
息苦しさ
胸水貯留による息切れ感や息苦しさがあることから安楽に呼吸ができていない。
このことから、ガス交換も正常に行われていないと考えられる。
どうしても書き方がわからない場合
例文を紹介しましたが、例えば担当患者さんの現病歴や既往歴など少し情報が違うだけでもアセスメントの内容は変わってしまいます。
担当患者さんのアセスメントの書き方でわからないことは、まず先生に相談してみましょう。
もし先生に相談しにくいという場合には、実際に経験をつんだ看護師にネットで相談できる『ココナラ』というサイトもあります。
ココナラとは、知識・経験・スキルを売り買いできるフリーマーケットです。
看護のことに関しては、看護実習のアセスメントや授業の質問などを受け付けている方などたくさんいるので、諦めてしまう前に一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
おすすめ参考書
アセスメントを書くとき、実際に私が使っていた役立つおすすめの参考書をいくつか紹介したいと思います。
実習記録の書き方がわかる看護過程
病気がみえる vol.4 呼吸器
病期・病態・重症度からみた 疾患別看護過程 第3版: +病態関連図 第3版
全科106疾患について、医学解説における情報をup to dateし、看護診断ラベルを更新。病気がみえる、カルテが読める“イラストでみる病態生理、症状、診断、合併症、治療、薬剤一覧”。病期・病態・重症度からみたケアのポイントがみえる“看護過程フローチャート、情報収集、アセスメント、ケアプラン、評価”。患者の全体像がみえる“病態関連図”。ほしい情報がすべて揃ったオールインワンの1冊。
引用:Amazon商品説明
漫画からも学べる
人間の体内にある細胞を擬人化した漫画になっています。
身体の中でどのような防御が繰り広げられているのかが漫画で面白く学ぶことができます。
Amazon primeでもテレビアニメ化された『はたらく細胞』をみることができます。
次は、(2)『適切に飲食する』のアセスメントについて例文を書いていこうと思います。
・【看護実習が楽になる】記録が進まない、やる気がしないときの対処法
・ヘンダーソンアセスメント例文(3) 身体の老廃物を排泄する
・ヘンダーソンアセスメント例文(4)身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する
・ヘンダーソンアセスメント例文(6)適当な衣類を選び、着脱する
・ヘンダーソンアセスメント例文(7)衣類の調整と環境の調整により、体温を正常範囲に維持する
・ヘンダーソンアセスメント例文(8)身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する
・ヘンダーソンアセスメント例文(9)環境のさまざまな危険因子を避け、また他人を傷害しないようにする
・ヘンダーソンアセスメント例文(10)自分の感情、欲求、恐怖あるいは”気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ
・【看護実習が楽になる】実習中におすすめの便利な商品・時短生活応援グッズ8選
・ヘンダーソンアセスメント例文(13)遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する
・ヘンダーソンアセスメント例文(14)”正常”発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる
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・【看護実習に役立つ】肝機能低下・肝臓癌ヘンダーソンアセスメント例文
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